2018.9.28

デジタル時代における動画マーケティングのあるべき姿

第2新卒として株式会社オプトへ中途入社し、わずか4年で株式会社オプトと株式会社電通の資本業務提携責任者として電通へ出向したあと、株式会社オプトにて執行役員・取締役を務めた経歴のある八田浩氏。
黎明期より携わっている動画マーケティングを、現在はゴルフ雑誌の老舗グローバルゴルフメディアグループの100%動画事業子会社である「GOLF Net TV」にて舵取りをする。そんな八田氏の挑む、動画マーケティングの課題とは。

-元々、起業したい・経営したいという思いはあったのですか?

八田氏:
そのような思いが最初からあったわけではないのですが、あくまでも事業がしたかったんですね。どういう事業を行い、どうやって世の中にサービスを生み出していくのか、ということに興味があった結果、経営の道につながっていっているという感じですね。

-今の仕事につながる動画に出会ったのはいつ頃のことですか?

八田氏:
2010年か11年ぐらいでしょうか。きっかけはやはりYouTubeです。単に動くものとしての動画は2005年頃にはあったと思いますが、その頃ってみんながビジネスとしてまじめに考えるレベルではなかったように思います。
電通からオプトに戻った時にこれから動画事業を何とかしていこう、と考えていました。それ以前も、もやもやしながら動いていましたが、ユーザーがYouTubeをものすごく視聴していると感じ始めた2010年、11年あたりにはすでに出遅れ感を感じていました。

-八田さんが感じるYouTubeのすごさというのはどんな部分に感じますか?

八田氏:
インターネット動画というものはユーザーが能動的に見るものからはじまったと思っています。ところが、テレビでみる番組に関しては受動的に見ているものなんですね。日本の全人口だと平均してテレビを1日3~4時間程度視聴(出典:総務省情報通信政策研究所「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」)していることになるんですが、その間は何もしなくてもよくって、ザッピングしながらだらだら見ている。このことはマーケティングとしては非常に重要でして、人間って目的のものを探しながら見ている時に広告が入ると邪魔になるので、その広告は刺さらないんです。逆に、時間つぶしにみている時ほど広告が刺さるんですね。

検索エンジンはほぼ100%能動的なので、目的のもの以外は押さないですよね。YouTubeのすごいところは、アーカイブされている動画は、本来ぼーっとしていたら見られないはずにもかかわらず、おススメの動画がどんどんでてきますよね。一歩踏み出してしまえば、次から次へとどんどんおススメとして出てきたものから選択することができるので、ユーザー側の負担が少ないんです。1回見ると、レコメンドが来ます。これが非常に心地よくって、いい感じに出すというのは技術的には難しいんですね。

私たちもYouTubeに動画をアップロードすると、どこから訪問したのかがわかりますが、アップした動画の半分以上は関連動画からのリンクです。能動的に動画を探してみてくれるのは一部でしかありません。自分で探求心をもって次から次へと行動してもらうところがYouTubeの凄さだと思いますし、そこはどこも真似できないです。

-現在「GOLF Net TV」の集客はどのようにされているのでしょうか?

八田氏:
メインの集客は雑誌やウェブ、フィールドメディアといった自社メディアになります。GGMGはゴルフ専業メディアとして、情報誌「週刊パーゴルフ」、レッスン誌「Alba(アルバ)」、女性向けファッション誌「Regina」(レジーナ)の3誌を定期刊行で出しています。それ以外に別冊や増刊でも出していますし、様々なデジタルメディア、自社主催のイベントなど、これが集客・告知の柱になっています。2017年11月の立ち上げ期はテレビCMも行いましたが、継続的にやっているのは自社メディアで、あとは練習場にポスターを貼ったり、ソーシャルの活用を行ったりしています。おかげさまでゴルフ好きな方たちへの認知は徐々に広がっていると感じていて、スタッフジャンバーなどを着て取材現場に行くと、「ALBAって動画始めたんだよね。面白い番組つくってね」といわれるような機会も増えてきました。

雑誌取材やイベント事業をやっていく中では当然映像も撮りに行っていますので、選手にアプローチをかけ取材をすることができます。これは、いきなりインターネット専業の会社ができることではありません。でも当社は、インターネットや動画というのはあくまで情報を伝える一事業、一手段であり、雑誌、WEB、イベント、動画、という立体的なメディア展開を通じてゴルフの魅力を伝えることが理念ですので、そこでは数十年ゴルフ雑誌を刊行してきた今まで培ってきた信頼があります。

しかし、雑誌がこれから伸びていくか?というとそれはないわけで、今の信頼があるうちにユーザーの期待にどう形を変えてコンテンツを見てもらうか、収益化するか、が私に課せられたミッションだと思っています。

-コンテンツ作りの大変さはどんなことですか?

八田氏:
現在、アプリが20万ダウンロードと手ごたえを感じつつありますが、でも雑誌の「パーゴルフ」や「ALBA」(それぞれ発行部数15万部)は知っていても、「GOLF Net TV」は知らないというゴルファーは沢山いらっしゃいます。アプリダウンロード数のほうが雑誌購読数より多いということは、とても興味深いことです。しかしながらユーザーへのコンテンツの信頼度というところは、まだまだ雑誌やマスメディアの凄さでもあると思っているので、この信頼をうまく動画コンテンツ作りでも活かしていきたいと考えています。また、ソーシャルの使い方に関してですが、単なる情報の告知というよりは普段なかなか見れない選手たちのオフショットを撮ろうと思ってやっています。「GOLF Net TV」の番組編成は15分単位なのですが、撮影には思っているよりも長い時間がかかっています。その間収集できるネタは豊富にありますから、それらをどんどんソーシャルで出していきたいですね。

-御社のようなメディアを持ち得ていない企業が動画マーケティングを活用していこうとした場合、どういうことをしていったらよいでしょうか?

八田氏:
デジタルとか動画とかは正直何でもよく、それは組み合わせを何にするか?ということだと思います。ブランドや信頼とは目に見えないですが、ユーザーが何となく感じているものです。それを可視化したのはデジタルの力です。
よく、YouTubeに出稿することを動画マーケティングと思っている方も多いのですが、それは一部の手段でしかありません。マーケティングが最終的にモノを売ることだとすれば、どの地点をデジタル化するか?動画化するか?自社の一番の強みは何なのか?を見つめることが大事ではないでしょうか。

-最後に、デジタルコンテンツは今後もさらに増えていくと思いますが、どんな点が重要になると思われますか?

八田氏:
私は、デジタルコンテンツを作る「人」が重要になるのではないかと思います。商品がないと流通しないように、今YouTubeやFacebookなどのプラットフォームが強すぎるので、コンテンツを作る人たちがデジタルとどう向き合っていくか?を真剣に考えることが大事になってきていると思います。当社であれば雑誌の編集者やライターが真剣に考えることが大事だと思っています。