2018.5.19

「顧客を管理する」CRMでビジネス成長は実現できるのか?CRMによって得られる成果とは。

売上を伸ばす、市場シェアを拡大させるなど、ビジネスの成長を狙う際に、今やCRMの考え方を踏襲することは当たり前となってきています。しかし、CRMを単なる“顧客の管理“と捉えてしまっている方が多く、CRMの本質的な成果を逃してしまっているケースが散見されます。ここでは、CRMによってどんな成果を狙うべきなのか、それをどのように実現していくのかについて解説します。

CRMを導入するだけでビジネスは成長する?

CRMとは直訳すると“顧客との関係性をマネジメントする“ことです。

実際のCRM施策も顧客のカテゴリー別にセグメンテーションマーケティングを展開するという手法であることは皆様もご存じかと思います。この施策の代表例がマーケティングオートメーション機能です。

インターネットの普及で、今や顧客は従来の訪問営業で営業パーソンから得ていた情報よりもずっと多くの情報を入手しています。既存顧客もほっておけばすぐに他社に行ってしまいますから、顧客との関係性をマネジメントすることで既存顧客を囲い込み、顧客満足度を高めることが重要です。また顧客のニーズは多様化していますから、それを掘り起こす必要もあります。マーケティングオートメーションは、顧客情報の管理や行動履歴の分析、メールマーケティングの自動処理、リードナーチャリングに必要な作業の管理、レポーティング機能など、精度の高いマーケティング作業を自動化して効率よく行うツールですから、このマーケティングオートメーションを駆使することがCRMだと理解してしまいがちです。

しかしながら、確かにCRMは顧客関係性をマネジメントすることにありますが、本当にそれだけなのでしょうか?そもそもCRMがなぜ必要なのかについて改めて考えていきましょう

CRMはなぜ必要なのか

CRMの必要性を考える上で、SaleとSalesの違いから考えていきましょう。

Saleは「販売」のことで、Salesは「営業」です。どちらも商品やサービスを売ることに変わりはありません。しかし、販売することと営業することは、大きく異なります。

「販売と営業の違いは、シンプルに言えば『モノ売り』か『コト売り』の違いと言えます。販売では単純に“モノ”を求める顧客が、営業では愛着や利便性など何かしらの“コト”を求める顧客が対象となります。もちろん1人の人がどちらの顧客にもなり得ます。

顧客が“コト”を求めるとき、その顧客がどんな“コト”を求めているのかは、顧客と企業(営業マン)の関係性が築けており顧客を理解していることで理想に最も近い“コト”を提供できることは言うまでもないと思います。

つまり、販売は“モノ”を売ることに特化すべき販売管理型で、営業は顧客との関係性管理に特化すべき顧客管理型であると言えます。

そのため、営業を主軸としている企業であれば顧客管理を行えるCRMの考え方が必然になるというわけです。CRMによって企業に対して顧客が利益をもたらす回数を増やすことができ、これを顧客生涯価値(CLV=Customer Lifetime Value)と言い、CRMによって狙える成果の一つです。

また、CLVを伸ばすことはもはやどの企業においても至上命題であり、これがCRMの考え方が流行した発端でもあります。ただ、ビジネス成長を狙っていくにはCLVが大きい顧客を、さらに増やしていくことが重要です。つまり企業との関係性が高い顧客が、さらに別の顧客を紹介してくれることが理想であり、このような顧客が紹介しても良いと思える価値の大きさを顧客推奨価値(CRV=Customer Recommended&Referral Value)と言います。

CRMによって狙える成果はCLVとCRVの両面があるにも関わらず、CLVの拡大のみに終始したCRM戦略を展開している企業が多いのが事実です。

ではCRVを高めるCRM戦略とはどんなものがあるでしょうか。

CLVとCRVを高めるCRM戦略とは

CLVを高めることはもちろん、CRVも同時に高めることができるCRM戦略を展開している事例をご紹介します。

株式会社カルビーが展開している「じゃがり校」というサービスをご存じでしょうか。

サービスの詳細は割愛させていただきますが、サービスの要点は顧客が商品開発に参画できることです。これによって「じゃがりこ」商品に対する顧客の愛着を高めること(=CLVの向上)ができ、自分で考えた商品を知人や友人に話したくなる仕掛けがあること(=CRVの向上)がCRM戦略としてのベンチマークポイントです。

もっと身近な例で言えば航空会社の会員カードサービスです。マイルなどの貯めたポイントで特典を得ることができ、その特典の良さ、ポイント効率の良さによって航空会社のカードを検討している知人に紹介したくなる流れがあります。

いずれの事例も、共通のポイントは会員制度などによって顧客のネットワーク化をしている点であり、顧客と企業の関係性を高めつつCRVの仕掛けを設けることで、優れたCRM戦略となるのです。

まとめ

企業の成長や売上拡大を狙っていく中で、今やどの企業もCRMの重要性を謳っていますが、本質的にはCLVとCRVの両面を高める戦略を描けているかが重要なポイントです。

その中でも顧客のネットワーク化によってCRM戦略を成功させている企業はベンチマークとなりますが、自社独自のCRM戦略をどのように描くかを、CLV・CRVの拡大という視点からアプローチしていくことが必要と言えるでしょう。