2018.11.21

プロダクトをグロースさせるために「グロース」より重要な2ステップ!

リブノバのグロースハック連載も今回で3回目を迎えます。今回は、プロダクトのグロースをするために、絶対に押さえておきたい「グロースより前の2ステップ」についてご紹介します。シリコンバレーの多くのスタートアップではそれらが意識されており、ブログやイベントで紹介されているのをよく見かけますが、日本ではまだまだ浸透しきっていない考えではないかと思いますので、ぜひご一読いただければと思います。

ここで、”グロースより前の2ステップ”と聞くと、前回記事のあの話では?と思う人もいるかもしれません。

第2回記事:
グロースハックに重要なAARRRモデルで最も勘違いされがちなこと

まさに、前回の記事で取り上げた、グロース期よりも手前のステップである①「プロダクトマーケットフィット」②「グロースへの移行」が”グロースより前の2ステップ”となります。今回の記事ではその2つの段階について、さらに深掘りしていきたいと思います。

目次

  1. プロダクトの成長において、最も重要な「プロダクトマーケットフィット」を確認する方法
  2. 「グロース」への移行に向けて、非常に役立つビジネスモデルとバリュープロポジションの整理

 

1.プロダクトの成長において、最も重要な「プロダクトマーケットフィット」を確認する方法

「PMF(プロダクトマーケットフィット)」。すなわち、「プロダクトがマーケットにフィットしていること」=「顧客の課題を解決するのに最適なプロダクトを適切な市場に提供している状態」ということ、そして、この状態をまず最初に作り上げることがプロダクトのスケールアップに非常に重要だということ、は前の記事でも述べました。

では、このプロダクトマーケットフィットしている状態であることをどう確認できるのでしょうか。グロースハックの生みの親、ショーン・エリスは”ベリー・ディサポインテッド(Very Disappointed)法”というのを唱えています。

ベリー・ディサポインテッド(Very Disappointed) 法

  1. アクティブユーザーに「このプロダクトが明日から使えなくなったらあなたはどう思いますか」という質問をします
  2. 選択肢は、「とても残念 」「少し残念」「残念ではない」「もうこのプロダクトを使うことはない」の4つにします
  3. 4割以上の人が「とても残念 (Very Disappointed)」を選んだ場合、あなたのプロダクトはPFMに到達したということができます

もちろん全てのプロダクトが、この質問と基準と照らしあわせてPMFが確認できるわけではありません。そのため、グロースハッカーには次の確認方法を好む人もいます。

ブライアン・バルフォー(Brian Balfour)アプローチ

プロダクトが次の状態であることを確認し、PMFの状態になっているかを確認する

  1. 売上が順当に伸びている
  2. ユーザーの継続率が高い
  3. ユーザーがプロダクトを正しく使っている

このようにPMFの確認にはいくつか方法がありますが、それぞれのプロダクトで適切な状態を作ることが最終的なグロースへの近道となります。

2. 「グロース」への移行に向けて、非常に役立つビジネスモデルとバリュープロポジションの整理

では、プロダクトがマーケットにフィットしていることを確認したあとは、何をするのでしょうか。

もしあなたがプロダクトのグロース担当者であれば、直ぐにより多くのユーザーを獲得したい、より多くの売上をあげたい、と思うはずでしょう。しかし、実際にそのような「グロース」に移行するには、組織・チームを動かす必要があり、直ぐに実行段階へ移すということはそう簡単ではないと思います。そこで、グロース期へ完全にシフトするために最も重要なことは「プロダクト(サービス)の価値を正しく言語化する」ことにあります。

その指針となるものとしてシリコンバレーを中心に非常に有名なフレームワークとなっているのが、「ビジネスモデルキャンバス(The Business Model Canvas)」と「バリュープロポジションキャンバス(The Value Proposition Canvas)」です。

A) ビジネスモデルキャンバス(The Business Model Canvas)

こちらはグロースハックの英語記事やブログを探したことがある人であれば、見たことがある人が多いのではないでしょうか。プロダクトの機能に止まらず、事業として捉えるための整理に役立つキャンバスとなっています。こちらは、世界で100万部売り上げた『ビジネスモデル・ジェネレーション』(アレクサンダー・オスターワルダー氏著)という本の中で紹介しているフレームワークです。

ビジネスモデルキャンバスでは、具体的には下記の9つの項目を整理することを推奨しています。

  • ・顧客セグメント
  • ・バリュープロポジション(価値提案)
  • ・顧客との関係性
  • ・チャネル
  • ・主要なパートナー
  • ・主要な活動
  • ・主要なリソース
  • ・売上構造
  • ・コスト構造


(Business Model Generationより引用)

このフレームワークを活用することで、事業・プロダクトの整理やチームへの伝達が有効的にでき、スムーズに「グロース」へ移行できるようになっていきます。

B) バリュープロポジションキャンバス(The Value Proposition Canvas)

上記のビジネスモデルキャンバスの項目のうち、「バリュープロポジション(価値提案)」と「顧客セグメント」の関係をより深掘りしたものが、「バリュープロポジションキャンバス」になります。このフレームワークでは、それぞれを下記のようにさらに細分化しています。

「バリュープロポジション(価値提案)」

  • ・プロダクト(サービス)の内容
  • ・プロダクト(サービス)がもたらす利益
  • ・プロダクト(サービス)が解決する問題

「顧客セグメント」

  • ・顧客のジョブ(=ユーザーが”やらなければいけないこと”)
  • ・顧客にとっての利益
  • ・顧客にとっての課題

(Business Model Generationより引用)

2つのフレームワークの関係性としては、

  • – まずは「ビジネスモデルキャンバス」で全体像を言語化する
  • – 次に、プロダクトとして最も重要な”プロダクトマーケットフィットをしているか”を言語化できる「バリュープロポジションキャンバス」を描く

となっており、各フレームワークの意味合いを理解することにより、より有効な手段となります。

あなたのサービスにおいても、これら2つのフレームワークを使用して、整理してみましょう。そうすれば、自分の頭の整理になることはもちろん、周りのメンバーまたは新たに入ったメンバーにスムーズに共有ができ、より迅速な「グロース」が可能になることでしょう。

 

執筆者プロフィール

菊川 航希(きくかわ こうき)

東京大学工学部卒業後、宿泊・インバウンド事業の立ち上げに従事したあと、外資系経営コンサルティングファームに入社。アメリカ・フランス・シンガポールオフィスのプロジェクトに参画するなど、海外を中心に幅広いプロジェクトに関わる。

その後、シリコンバレーに移り、プロダクトのグロースやデザインに特化したスタートアッププログラムに参加。現地のスタートアップのグロースコンサルティングを手掛ける。

現在は、サクラス株式会社でパートナーを務めながら、シリコンバレーを拠点としたファンドやスタートアップとプロジェクトを行うなど、様々な事業に参画中。