2019.3.14

神田昌典氏が緊急提言!「ベンチャー企業が生き残るためにはBtoB営業に『コマーシャルインサイト』が必要だ」

ここでは、『隠れたキーマンを探せ! データが解明した 最新B2B営業法』の共同監修者でもある神田昌典氏との対談を通じ、ベンチャー企業の営業担当者、とりわけBtoBセールスに関わる方々が、セールス現場での行動指標としてどのように大手クライアントに切り込んでいったら成果に結びつくのか?また、この本の内容をどのように活用していったらいいのか?といった部分にフォーカスしていく。

こちらの記事は前編・後編の2部構成となっているが、前編は神田氏との対談内容をまとめたもので、読者の方に書籍内で意識して読んでもらいたい部分を中心に説明いただいた形となっている。後編は書籍の要約となるが、前編の内容を踏まえBtoB営業の重要ポイントをまとめているので、興味を持たれた方はぜひ後編も合わせて読んでいただきたい。

 

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一般的にベンチャー企業の多くでは、中小規模のアカウントは多数持っているものの、ほとんどの場合大企業を攻略する術すら持ち得ていない。大企業のアカウントを獲得する一つの手段として、大企業出身の営業パーソンを採用してはみるものの、当の本人自身が大企業への攻略方法がわからないため攻めあぐねているケースも中には存在する。

まずここで伝えておかなければならないことがある。ベンチャー企業においては、アカウント数を獲得しようと営業が切磋琢磨しているが、実はそれは大きな間違いであることに気づいていない。アカウントの数が多いだけでは収益化になかなか結び付かず、ある一定規模以上の大口アカウントを開けない限りは事業が格段に大きくなることはないのだ。

ではなぜベンチャー企業が大手アカウントを取ることが難しいのか?

 

神田氏はこう語る。

「”企業のトップを攻略する“というフレームワークに固執する限り、小さなアカウントしか取ることができないベンチャー企業では収益化することが非常に難しい。さらにその中で『営業は足で稼ぐのではない。そんな時代はもう古い』という考えのもと、デジタルに頼った営業をすれば、小さなアカウントは数多く取れるかもしれない。

しかしそれは一時的な効率化にすぎず、大口のアカウントを獲得する際に、少なくとも初回はモビライザー(最もフォーカスすべき人:動員者)を動かすために対面行動を起こさなければならない。つまり、ベンチャー企業でありがちな画面対応のデジタル営業では小さなアカウントしか取れない。その結果、やればやるほど忙しくなるものの、儲からない。」

現在コンテンツマネジメントやコンテンツマーケティングといった手法が非常に注目を浴びているものの、コモディティ化に一直線となり、非常にネガティブな反応しかできない状況である。

ライターを使ってコンテンツを大量生産したとしても、良質な契約は一切取れない上単純に忙しくなっていくだけだ。クライアントだけでなくベンチャー企業内でもしっかり組織として連携を取っていかないと意味のある変革ツールを導入することはできないと言えるだろう。

 

また神田氏はこう続ける。

「トップに提案しても契約が決まらない。なぜなら購買決定に関わる人数が平均「5.4」人も存在するからであり、さらに商品の競争優位性を言ったところで顧客はすでに情報を知り得ている。その過程では他の2社と比較され、価格競争に陥ってしまい(3分の1問題)、良質な契約に至らない。

クライアント企業内のモビライザー(動員者)を動かすには、顧客知識をベースとした『コマーシャルインサイト(顧客さえ気づいていないアイデア)』が必要となってくる。

そして顧客の定性的・定量的データをもとに客観的に分析しなければインサイトを見出すことができないのだが、そのためには『コレクティブラーニング(互いの考え方について話し合い、合意ポイントを探り、共通の意思決定に達することで社会的規範を築こうとする相互作用プロセス)』をやる必要がある。」

今の営業は、どうやったら成果がでるか?その部分にフォーカスされる時代になっている。その中で「コマーシャルインサイト」を見出せないと無駄が多くなり、多くのベンチャーはつまずいてしまうだろう。

成長期のベンチャー企業では競合比較、低価格競争戦略でも単なる商品売りでよかったが、そこからさらに上を目指すには芯をついていないと大企業に行けなくなってしまうのが実態である。5.4人を動かすための解決策は「コマーシャルインサイト」しかない。それがなければ組織変革もできず、モビライザーにもたどりつけないのだ。

実際、中小企業の営業はそれでも成り立つのが現状だ。営業に行った際にこんなことがないだろうか?

中小企業では社長と一緒に4-5人のオブザーバーがいる状態。ところが大企業では5人以上、さらに職種も横並びの人たちがぞろぞろと出てくる。そこで求められるのはソリューションではなくディスカッションパートナーである。

そんな中両者間での面談の目的が違っているのにもかかわらず、大企業への営業において、中小企業への営業と同じようにオーナーを口説こう、誰が主導権を握っているのかを探る形で営業していると大抵決まらない。

 

神田氏はこう提言する。

「これからのトレンドとして、ベンチャー企業でも一つのポジションに向かって席取り合戦が行われていくと思われる。営業力は重要なファクターではあるが、営業パーソンが何を伝えたらいいのかが今後問われるのではないか。しかし、コマーシャルインサイトを見出すことをトップや幹部が見出していない、重要性を認識してない、そんな企業はまだまだ多い。

また、ベンチャー企業に関しては、あなたの商品を売りたいならコマーシャルインサイトを理解できれば今のままでも売れるのに、と非常にもったいないことをしているな、と感じている。自社のコマーシャルインサイトを見出すことができれば、自社のバラバラな状況も解消できるし、自分たちの商品を誇り持って売ることもできるだろう。

しかし、営業の立場でクライアントのコマーシャルインサイトを見出すことは非常に難しいことは理解している。なぜなら、コマーシャルインサイトを見いだせるのは営業ができるトップ中のトップでしかないから。とはいうものの自社の売り方がコマーシャルインサイトになっていれば、コンセンサスを得やすいのではないだろうか。」

コマーシャルインサイトを見出すことで、自分の商品への見方や見せ方を変えるだけで全く違った結果に結び付く。商品を売ること、相手を口説くことをゴールにせず、その先にあるミライや社会へ立ち位置を向かせられるかがコマーシャルインサイトには重要となるであろう。

ベンチャー企業が大手企業を攻略するには、意識変革型の営業にシフトしないと良質な契約は取ることはできない。そんな中、今まではトップさえ落とせば意識変革ができるのではないか?と思われていたが、本書の中で購買決定には平均「5.4」人いることが分かり、社内の誰に当たったらよいのか?が意識変革型の具体的営業手法が見えてきた。

後半では、書籍の中でどのように「コマーシャルインサイト」を見出していくのか、モビライザーへの接触方法について触れていくことにしていこう。

 

▼後半記事はこちら

『売れるBtoB営業担当者が実践している、業績を飛躍的に伸ばすのに不可欠な「隠れたキーマン」の発掘方法とは?』