2018.8.13

今を読み解くキーワード バリューチェーン

企業内部のプロセス、バリューチェーン

多くの方が知っている通り、バリューチェーンは「企業が価値を生むための、企業内部のプロセス」です。名付け親はご存知マイケル・ポーター。彼は企業活動を5つの主活動のプロセスと4つの支援活動に分類・整理しました(1985『競争優位の戦略』)。今では当たり前に使われる「バリューチェーン」という言葉ですが、何故このような考えが生まれたのでしょうか?

ポーターは学生時代から優秀でした。かの有名な「5フォース分析」は彼の博士論文で発表されました。5フォース分析は、5つの要素 を検討することで業界構造を分析し、「儲かる市場」を見極めるために生み出されました。「儲かる市場」と「儲かる位置取り」の見極めを重視していたポーターがバリューチェーンを考えた理由は、儲かる市場で儲け続けるためには、企業内部の活動を整理する必要があると考えたからです。このように、ポーターによって外部環境は5フォース分析、内部環境はバリューチェーンという2つの考えが揃いました。

企業の枠を超えてつながるバリューチェーン

時代は移り20世紀末、先進国では経済が成熟化し、従来型のビジネスモデルが限界を迎えつつありました。更に、コンピューターとインターネットが融合した情報ネットワークの発達に伴い、異なる製品を作る複数の企業が手を取り合いました。その代表例はマイクロソフトとインテル。両者は手を組むことで、ともに大成功を収めました。「提供価値を外部ネットワークによってもたらす」という点は、ポーターの5フォース分析では表現されていなかった要因であり、6番目のフォース「補完財」として提唱する人もいます。

補完財の参入は、業界構造を大きく変えます。と同時に、外部企業と協力すればするほど企業の「外」と「内」の境界はどんどん曖昧になります。こうなると、企業内部の活動を整理したバリューチェーンも当然変化を求められる訳です。

昨年ブームの様相を呈したインダストリー4.0においてもバリューチェーンのネットワーク化が進められています。また、近年のプラットフォームビジネスに見られるような、多様なネットワーク参加者によるエコシステム形成もバリューチェーンの変容を象徴しています。バリューチェーンは自社の枠にとどまらず、自社と社外を次々とつないで、新たな価値を生むプロセスに変わることが求められているようです。