「タレントマネジメント」は大企業だけのものではありません
「タレントマネジメント」と聞いて、「あぁ、大企業が最近取り入れてる人材のアレでしょ」などと思っている人はいませんか。
中小企業にこそ、いま最も必要な戦略でありシステムが「タレントマネジメント」なのです。
経営資源の中核「ヒト・モノ・カネ」のうち、企業としての競争力を高めるのに最も重要な要素は「ヒト」だと言われます。「モノ」と「カネ」はもちろん企業経営の上で非常に重要ですが、同業種の競合企業と比較した時、結局のところ個々人の能力を引き出せているか否かが会社の競争力の違いに直結しているからです。
社員の能力を高め、社員が気持ちよく活躍できる環境を作る・用意することが、現代の経営には求められています。
それは、募集すればすぐ人が集まってくる知名度のかなり高い一部の大企業であっても同じであり、人材確保が容易ではないそれ以外の企業こそがタレントマネジメントによって社員が活躍できる環境を整え、競争力を上げるべきなのです。
大企業にとってのタレントマネジメント
大企業にとってのタレントマネジメントと、中小企業にとってのそれは中身が大きく異なります。
大企業にとってのタレントマネジメントとは、主に「人材の配置」です。大量の人材を抱えている大企業だからこそ、適材適所、人の配置換えでコトが済むケースが多くみられます。
一方、中小企業はそうはいきません。中小企業の場合は「配置」ではなく、「育成」こそがタレントマネジメントの真髄です。
一般的に、人材が不足した際、中小企業・中小ベンチャー企業は“即戦力を中途採用で確保しがち”です。
これはこれで間違いではないのですが、獲得にかける中途採用コスト(人財に対する投資と言ってもいい)が半永久的にかかってしまいかねません。人を採用した分に見合うだけ業績が右肩上がりになれば、その費用の捻出も苦にならないでしょうが、なかなかそうはいかないと思います。
だからこそ取り組むべきは「育成」です。
人材不足は「育てて」解消! 中小企業でも可能なタレントマネジメント
中小企業・ベンチャー企業におけるタレントマネジメントの実践、「育成」とは、端的に言うと次のようなことです。
- 事業成長を支える上でどのような人材が求められるか(スキル・マインド)を明確にする
- 次に、求める人材像に近く、会社としても当人の成長を後押ししたい人材を数名特定する
- 特定した人材をいかに求める人材像へ近づけるか、それぞれのアプローチ(業務内容、組織配置、メンター設定等)を経営会議で決議する。(人事部だけでなく、会社としてタレント育成へコミットメントするため)
- 決議された内容を半年~1年の期限を設けて実践する。
配置転換や役員メンターなど会社として人材育成にコミットメントし、ヒトを「育てる」。これが中小企業・ベンチャー企業にこそ求められるタレントマネジメントです。
あなたは社員のスキルや能力を把握していますか? タレントマネジメントで行う2つのコト
タレントマネジメントで行われるコト、具体的な実践は、大きく分けて次の2つです。
1.現社員の特性把握:社員たちがどんなスキル・マインドを持っているか
2.求める人材像の明確化:自社の事業を成長・発展させる人材とはどのようなスキル・マインドを持ち合わせていることが理想か
しかし、実際問題、社員のスキルやマインドを客観的に正しく把握している企業がどれだけあるでしょうか。
タレントマネジメントのメリット
タレントマネジメントの実践において大切なのは社員との対話です。
対話を通じて、社員が描いているビジョンや、やりたいこと、組織に対する印象などを引き出し、しっかり共有することで、タレントマネジメントは生きてきます。
社員一人ひとりと企業の関係性をより密接なものにしていくことで、社員と企業のエンゲージメントが高まり、組織全体のパフォーマンスが向上し、その結果、他の社員の意欲も高まる職場になっていくのです。
〔タレントマネジメントが中小企業にもたらすメリット(例)〕
- 企業経営層と社員との間に対話が生まれる
- 企業と社員とのエンゲージメントが高まる
- 組織全体のパフォーマンスが向上する。人事的ロス・人的“もったいない”の解消
- 社員の意欲が高まる(自分も抜擢されるかも知れない!)
- 離職率が低減する
- 就職希望者が増える(社員の働きがいが高い企業という外部評価)
成長が必要な中小企業にこそ「タレントマネジメント」が必要だ
ヒトを制するものが市場を制す。成長を目指す中規模・小規模の企業にとって、社員のパフォーマンスアップこそが何よりも大切です。
さあ、いまこそ、明日から、いまこの瞬間から
「タレントマネジメント」で会社を強く変えていきましょう!