2018.5.12

人財育成と組織開発はなぜ必要なのか?

現在のビジネス環境や経営環境は、グローバル化やIT技術によるイノベーション、既存のビジネスモデルの崩壊、終身雇用制度の崩壊、少子高齢化による労働人口の減少など、変化が激しく予測不能な状態となっています。そしてこのようなVUCAの時代に突入した現在、企業の競争力を高める人事アプローチとして組織開発が注目されています。そこでここでは、組織開発は何なのか、人財育成との違いや関係、そしてこれらが組織に与える影響について説明します。

人財育成と組織開発の違い

人財育成とは個人の能力を引き出したり養成したりすることで、組織開発は組織が成長するために組織全体に施すアプローチであるという概念は、どなたもご存知で理解されているでしょう。ただ人財育成は理解しやすいですが、組織開発というのは言葉自体は以前からあるものの、その意味や中身を正しく理解している人が少なく、人財育成と同じようなとらえ方をしている組織が多いようです。

個人的に優れた能力の人財でも、その力が発揮出来る組織と発揮できない組織があります。終身雇用制が定着して簡単に従業員を解雇することができない日系企業、特に優秀な人財の確保が難しい中小企業では、今社内にいる人間を使っていかに効率よく成果をあげなければならないかを考える必要があります。また、働き方改革で労働時間を安易に増やせない中、効率的に成果を出すための糸口として、組織改革が必要となります。

つまり事業スピードを加速させ、更なる成長を図るためには、個人の能力よりもむしろ組織の仕組みやプロセス、メンバー間の関係を改善することで、組織全体のパフォーマンスを向上させること、組織力を強化することが重要です。これが組織開発であり、組織開発に必要な要素が、人財開発となります。

人財教育は、組織開発の一要素に過ぎません。組織開発は、人財採用から始まって人財育成、人事評価、人財配置、そして人財活性化を、組織全体のパフォーマンス向上のために行うことですから、人財育成は組織開発の一部となります。

組織開発はなぜ必要か

日本では従来の日本型雇用制度である終身雇用が崩れ、中途採用も増えてきています。育児をしながら働く女性や外国人の雇用も普通の時代となり、また働き方改革により様々な形のワークスタイルも普及しつつあります。このようなダイバーシティのある組織では、従来の終身雇用や男性中心の職場を前提とした人財育成を個別に施すだけでは、組織としての成長や目標達成は困難です。このため、新たな組織開発に取り組むことにより、ダイバーシティをむしろ強みとするための取り組みが必要となります。

VUCAの時代においては、変化に対応できる人財を育成することも大切ですが、時代の変化にあわせた組織開発による、組織としての競争力の強化も考えるべきです。つまり、従来のトップダウン式の組織の在り方や、情報や意思決定のコミュニケーション方法を見直し、変化に対応できる機動性に富んだ組織作りが必要不可欠です。。

組織開発の進め方

今あるリソースを活用する人財育成と組織開発は、企業の成長にとってどちらも必要です。

人財育成のプロセスでは、まず個人の能力と弱みを見極めるところから始め、発見された弱点を補って強化する教育プログラムを組みます。組織開発にあたってもそれと同じように、まず組織の現状を分析して何が問題となっているかを洗い出す必要があります。そして組織の強みがどこにあるかを特定し、その強みを伸ばすアプローチが求められます。

組織の問題点としては、例えば能力のレベルが高い個人がいるのにその能力が生かされていない、組織として業績が伸びていない、組織が活性化していない、無駄なプロセスがあるのを誰もが認識しているがその改善に取り組もうとしていない、生産性が低い、などが挙げられます。組織開発のプロセスでは、こうした問題が個人ではなく組織にあると認識し、問題の改善策を検討、実行することになります。この際、効果的な組織開発を進めるためには、十分な知識やスキル、経験が必要となります。

組織開発は組織内部の当事者が取り組むことにより効果がでる場合もありますが、組織内部の人間はあくまで組織開発における”組織”の一要素であり、客観性を担保することが出来ません。また組織の内部の人間は、「何を変えるべきか」や「何が問題点なのか」の特定や気づきが困難です。従って組織開発を効果的に行うためには、まずトップが組織開発を決断して組織のメンバーに組織開発の必要性を認識させ、現場任せではなくトップダウンで進めることが重要です。

まとめ

人財育成は個人を組織に合わせようとするもので、組織開発は事業環境・戦略に合わせて組織の在り方をとらえ、成長する組織にすることです。企業にとってはどちらも必要ですが、組織開発の一部となる人財育成に焦点があてられて、組織開発まで取り組んでいない企業が多いのが現状です。人財採用や人事評価制度、戦略的組織配置により組織開発を見直して、企業の効果的な成長につなげることを検討してはいかがでしょうか。