2019.3.4

企業の将来価値を創出する次世代社員の作り方

成熟市場において持続的な成長を実現させる方法とは?

わが国では、すでにあらゆる業界が成熟期を迎え、多くの企業にとって目前の業績(現在価値)を上げることが生き残りへの課題となっています。しかしながら、長期的にはそれだけでは許されず、10年後、20年後の成長を見据えれば、既存事業の維持拡大だけでは十分とは言えません。市場環境の変化が激しい現代において、企業は新規事業開発や既存事業のイノベーションにより、将来価値を創出する動きも同時並行でやっていかなければならないのです。

そんな中、ほとんどの中小企業にとって、資本や規模に頼った将来価値の創出は容易ではなく、ましてや投資できる既存リソースも限られています。長期的な業績向上のための布石打ちであるにもかかわらず、失敗は許されない状況です。一体どうすれば現在価値を最大化しながら、将来価値を創り出していくことができるのでしょうか。

資本の限界など非常にシビアな環境下においても、収益化できる新規事業の開発に成功し、また既存事業の革新によりブルーオーシャンを開拓した企業は確かに存在します。彼らはどうして成功できたのでしょうか。そこには、ビジネスモデルや資本力とは別に、組織・人財という観点において、うまくいかない企業とは決定的な違いがありました。

成功する企業における組織作りの二つの共通点

成熟市場において、企業として成長していくためには、将来価値の創出は欠かせません。そして将来価値の創出に成功した企業には、必ずと言っていいほど、組織内において、以下の2点が醸成、構築されています。

1.個人の成長意欲をかき立てる組織風土
2.思考し続けられる人財が育つ仕組み

個人が成長意欲を持つことは素晴らしいことです。成長意欲の強い社員と弱い社員では、個の能力の最終到達点に雲泥の差が出ます。答えはシンプルで、各々の限界値の置き方がまったく違うためです。例えば合格点が70点と定められたときに、70点を目指す社員と120点を目指す社員では、達成プロセスにかける努力の総量がまったく異なります。これが繰り返されることで成長スピードも成果も圧倒的に変わってきます。

このような人財が集まる企業は、極めて強く競争力の高い組織となりますが、決まって「そういった人財は集まらない」と言われがちです。しかしながら、この課題には大きな誤解があります。今や人手不足を背景に採用力でも劣勢となる中小企業にとって、人財は’’集める’’ものではなく、’’育てる’’ものと解釈することが勝機へとつながります。

優れた人財を育て成功する企業には、個々人が成長を追求し、またサポートし承認し合える組織風土が必ず存在します。個人差はあるにしろ、社員一人ひとりの意欲的な成長は、十分に醸成された組織風土によって左右されるのです。

そのように成長意欲をかき立てる組織風土は、一体どうすれば作り出せるのでしょうか。そもそも、成熟した組織風土があるから人財が育つのではないかという疑問も湧いてきます。

人財育成が先か、組織風土づくりが先か

「成長意欲をかき立てる組織風土を作ることで優秀な人財が育つ」と、「成長思考を持つ人財を育てることで組織風土が醸成されていく」とでは、まさに鶏と卵の関係のように思えます。しかし、先述の二つの共通点を抽出したベンチマーク企業では、いずれも後者から取り組んでいるのです。

ただし、人財育成から組織風土を醸成していくプロセスの中に、必要不可欠となる因子があります。それは、思考し続けられる人財が育つ’’仕組み’’があるということです。

<人財育成から組織風土醸成へのステップ>

将来価値は’’いつも通りの活動’’から生まれる

人財が育つ’’仕組み’’は上記図の②で示しています。仕組みは風土とは異なり、もっと普段のオペレーションに近い部分に属します。業務を遂行するに当たり、どういうコミュニケーションが誰と誰で発生し、どのようなサポートや承認がそこで生まれるかということを設計した規則です。これがあることにより、日々の業務を通して、成長に対する組織のスタンスが徐々に育ってきます。

下の図の青、緑、黄の矢印は、一般的な組織の縦ラインにおいて、普段から行われているコミュニケーションを表しています。各々の色の矢印では、人財が育つ仕組みに則った形で、成長を追求し容認するコミュニケーションが均一的になされることが重要です。

これらがあらゆる部門で統一的に実現することで、例えば赤丸で囲まれたまったく別部門の社員同士が、どのように成長し、どんな新しいチャレンジをし、いかに学びを得たか、それらの情報や体験を共有しようとしたときにも、直感的に互いを理解でき、評価し承認し合える’’組織内共通の統一化された感覚値’’が根付いてくるのです。

また、紫枠で囲まれた社内横断的なプロジェクトチームが発足したとしても、普段から成長思考をベースとした縦ラインでのコミュニケーションが上司部下間でなされているため、チーム内では互いの業務遂行の水準や成長スピードに対する尺度が共有され、高いレベルで思考し続けられる人財が育つことになるのです。

<思考人財を生み出すマネジメント組織>

仕組みを構築しても現場社員がついてこないときは?

このように思考し続けられる人財が育つ’’仕組み’’を作ることで、人財が育ち、将来価値を生み出そうとする組織風土が醸成されてきます。しかしながら、仕組みを構築しても現状の人財がうまく機能せず、なおかつ成果が出るまでに時間がかかることもあり、途中で頓挫するケースが多くあります。

こういった事態を防ぐために最も重要なことは、社員一人ひとりが”現在100の時間を要している仕事を80で完遂できるようになる”ことです。そして残りの20の時間を、将来価値を創造するための仕事に充てます。日々の仕事の中で、実に多くの現場社員が業務の手戻りや上司への確認に必要以上の時間を費やしていることが多々あります。

「リブノバ」を運営する弊社リブ・コンサルティングでは、今すぐこのような非生産的な時間を削減し、組織全体が効率的に仕事を進められるようになる基礎事項を、「現場の無駄時間を排除する! 効率的な仕事の進め方全体像」としてまとめています。

この方法論を基礎として、組織全体で共通言語化を図り、タイムロスをなくすことで、現場社員は思考する時間を確保できるようになります。さらに、部下から刺激を受けた上司側の仕事の質も改善され、結果的に組織全体として将来価値を創出する動きを取ることができるようになっていきます。

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まとめ

多くの業界で成熟期を迎えている日本において、企業は現在価値の向上だけにとどまらず、新規事業開発や既存事業のイノベーションなど、将来価値を創出する活動が求められています。しかしながら、何から着手し、どのように取り組めばよいか、どうすれば成果を上げることができるのか、明白な見通しが立てきれず、危惧する経営陣の方々も多いと思います。

それらを解決する方策は、新しく経営企画室を作ることでも、経営陣だけで中期経営計画を立てることでもなく、今ある組織人財を変えていくことに尽きます。

仕組みを作り、思考し続けられる人財を生み出し、組織風土を変えていく一連のプロセスは、もちろん一朝一夕に完成するものではありません。しかし、このような着実な取り組みこそが、企業の将来を担う次世代人財を生み出すための、まさに将来価値の創造活動と言えるでしょう。