2019.5.13

なぜいつも営業改革は失速するのか。現場の本音を逆手にとる組織を動かす感情場理論とは?

営業組織をもつ企業にとって、コンスタントに高い業績を出し続けるためには、常に変遷する市場の流れを読み、最適な営業戦略を立て、実行に移す組織や営業手法を柔軟に変化させていくことが求められます。言うまでもなく、大切なことは変化し続けることであり、今日うまくいったセールス手法も、明日には通用しない現実が平然と起こり得ます。

そんな中、企業は機動的で継続的な営業改革を行うべく、社内におけるロールモデルとなる成功事例を抽出し、組織全体にその成功のエッセンスを浸透させ水平展開を試みるのですが、なかなかうまく行きません。

本部の打ち立てた営業戦略を実行できない現場の本音

業績の低迷する営業所(店舗・支店・セクション等)のトップは言います。「理屈はわかるけど、こちらとあの店舗では状況が違いますから」「あの店長は何をやってもうまく行く。店のメンバーのレベルも違いますよ」。さらには「わかりました」「やっていますよ」と良い顔をしながら、実際には全く指示どおりに動いていないケースもよくあります。

マネジメント側(営業本部)がどれだけ素晴らしい営業戦略を立てたとしても、実行されなければ全く意味がありません。営業組織の本部長や統括責任者であれば、誰もが頭を抱えるこの課題に、マネジメント側としてどう向き合うべきなのでしょうか。営業組織改革に成功する企業を見ていると、そこには組織をリフレーミングする全く新しいフレームワークが存在しているのです。

営業改革の命運は組織に渦まく’’感情’’をどう捉えるかで決まる

一部の優秀な営業所の成功法則を、理屈だけで他の営業所に水平展開したとしても、ことはうまく運びません。絶対的に思える成功法則ほど、ロジックが完璧で正論となり過ぎ、他の営業所からの反発を受けがちです。このような場合、営業部全体を’’感情組織’’として捉え直すことが、事態を大きく改善させてくれます。

人は感情の生き物であり、理屈の生き物ではありません。ヒトの感情の集合体として組織を捉え直すと、そこには感情による場の力学が働いていることに気づきます。

ロールモデルの成功因子をただ単純にコピーし水平展開したとしても、それだけでは組織の感情力学が全く無視された状態となります。

つまり従来の「モノ・コトを考えるフレームワーク」だけでは理屈一辺倒となり、ヒトは動きません。組織を前向きな変革に導くためには、同時に「ヒト・組織を動かすフレームワーク」が必要であり、これらを両輪として考えることで、戦略立案から実行へとスムーズに繋げていくことができるのです。

「ヒト・組織を動かすフレームワーク」とは?

「ヒト・組織を動かすフレームワーク」は営業部のメンバーを無感情で機械的な戦略実行部隊とは捉えません。あくまでメンバーは感情を持つヒトであり、営業部は感情組織として捉えられます。ここでは、ヒト・組織を動かすフレームワークの中でも、最も代表的な「トップランナーフレームワーク」を紹介しましょう。

トップランナーとは、当該目標/段階において他の営業所よりも先に成果を出しており、常にひとつ以上先の目標/段階に取り組み、前を走っている営業所や店舗・支店のことです。トップランナーフレームワークは、複数の営業所で組織される営業部が全体の業績改善を目指し新しい営業方針を導入したい場面で、極めて有効に機能します。トップランナーフレームワークでは以下の3点を考えます。

 

(1)全営業所で一斉に新しい方針をスタートさせるか/一部から始めるか

(2)一部から始める場合、どの営業所をトップランナー(先行者)として選ぶか

(3)トップランナーの知見・ノウハウをどう全面展開するか

 

一斉スタートか一部スタートかは問題ではない

まず(1)の検討事項について述べていきます。マネジメント側で新たに打ち立てた方針を全営業所で一斉スタートさせるか、それとも一部の営業所だけでスモールスタートさせるかは議論すべき事項ではありますが、結論としてどちらになっても問題ではありません。

確度の高い営業手法が既に確立されている場合は、「一斉スタート」して問題ないでしょう。逆に、営業手法がまだ仮説段階であり、検証やテスト運用を要する場合は、選抜した「一部」の営業所から始めるべきです。

これは再三試されてきた「モノ・コトのフレームワーク」で判断ができる部分です。ただし、いずれの方法を採用しようとも、ここからさらに’’ヒト・組織を動かす’’ためのフレームワーク(今回はトップランナーフレームワーク)に当てはめ、感情場として営業組織を捉えなおす必要があります。

新たなことを取り入れていく場合、組織では必ず反発が起こります。「また新しい方針か」「どうせすぐ消えるだろう」「ただでさえ忙しいのにそんなこと無理だ」「どうせ誰もやらないだろう」と言った負の感情が一部で生まれ、現状維持しようとします。これを放っておくと、やがて組織全体が負の感情で支配され、改革は失敗に終わります。

重要なことは、組織に流れる負の感情を抑え、正の感情が流れる場を作り出すことです。そして、その担い手がトップランナーです。トップランナーを立てることで、正の感情の流れができ、組織全体の行動量と施策実行スピードが加速していきます。

営業組織に新風をもたらすトップランナーの作り方

次に(2)について述べます。一部の営業所から始める場合は、もちろん選抜したその営業所がトップランナーとなります。営業本部の推進メンバーや部長が手厚いサポートを行いながら、ともに考え行動し、新しいプロセスと成果を作り上げていきます。

一方で、一斉スタートの場合は、全営業所が同時スタートとなりますが、その中から2~3営業所を選びます。他の営業所に比べ、トップランナーには本部からのサポートを特別強化し、二人三脚で新しいプロセスと成果を生み出していける体制を作ります。そうすることで、トップランナーは他の営業所の見本となり、新たな方針や施策実行の参考となります。

重要なことは、「あの営業所でも出来たのだから我々にも出来る」という’’成功の臨場感’’を組織全体に生み出すことです。なお、一斉スタートの場合でも、もし全営業所にサポートできる本部体制が作れるのであればそうすべきです。しかしマネジメント側の現実的なリソースの問題として難しいケースがほとんどです。選択と集中により、成果が上がりやすい状況を作り出していくことが適切です。

どの営業所をトップランナーに選抜し組織改革を進めていくか?

トップランナーとなる営業所をどのような基準で選抜していくべきか、それには様々な要素を検討する必要があります。単に業績の高い営業所を選べばいいというわけではありません。お気づきのとおり、’’何をやってもうまくいく’’営業所や所長・店長は存在し、彼らがトップランナーとして成果を上げたとしても、先述の正の感情のスパイラルには乗りません。

一方で、意図的に業績の悪い営業所ばかりをピックアップするのも上手い方法とは言えません。なぜなら、業績の悪い営業所は、エリアや顧客、メンバーなどに特殊な事情が存在するケースが多く、標準モデルにしづらいからです。また改善のためのマネジメント側の工数が膨大になりがちで、その割に成果が見られず、時間がかかることもよくあります。さらに検討事項(3)も重要です。

トップランナーが先行して作り上げた成果を、いつどのように全面展開させていくか熟慮する必要があります。展開方法を間違えると、せっかく成功の兆しが見えたとしても、再び負の感情の流れに支配され、営業改革が失敗に終わるケースもよくあります。

どのようにトップランナーを選抜し、新たに見出した営業方針をいかに組織全体に展開させていくか。以下のダウンロード資料では、その方法論を(1) (2) (3)の検討事項にそって、より具体的に紹介しております。

最も効果的かつ迅速に営業改革を進める上で、このトップランナーフレームワークは非常にパワフルに働きます。読み終えた後、今すぐ何をすべきで何をやってはいけないか、それらが明確になります。これまでネガティブな反応ばかりであった組織が、自発的に動き出すための営業改革を実際にタスクレベルまで落とし込み、推進していくことが可能となります。

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